iPhone 4s(2011年10月発売)
2018年02月06日 18時13分
■故障リスク・フロントパネル
化学処理をほどこして強化した「アルミノケイ酸ガラス」という特殊なガラス素材が使われています。プラスティックの30倍の強度、20倍の剛性を持ちます。
このガラス素材は、最新のiPhoneまで一貫して使われています。
強化ガラスとはいえ、強い衝撃を受ければ割れてしまうのはご承知の通りです。また、液晶パネルとマザーボードをつなぐケーブルも繊細で、切れやすい点に注意が必要です。
・ホームボタン
iPhone 4sになってから、ホームボタンの内部にシリコン製のゴムパッキンが採用され、ある程度の防塵防水性能が与えられました。その点にかかわる故障リスクは低下しています。
反面、外装ボタンの裏側内部で固定するツメが先行機種よりも薄くなっており、フロントパネルの破損と同時に割れてしまうリスクは高まっています。
・スリープボタン
電源のオン・オフ、待ち受け状態で画面を消す状態(スリープ)にするために使うボタンです。近接センサー(電話で話すために顔が近づくと画面を消す)、環境光センサー(周囲の明るさを測定してモニターの輝度を調整)と一体のパーツ構成で、それらのセンサーにトラブルがあった場合も交換になります。スリープボタンを何度も押すことで、それらのセンサーの不具合を引き起こしてしまうこともあります。
・アンテナケーブル
あまり不具合が起きない部分です。が、アンテナのマザーボード側接点が非常にちいさくて繊細なパーツなので、ちょっとした衝撃でこわれてしまうことがあります。
・イヤフォンジャックケーブル
マナーモード切り換えのスイッチケーブル、ボリュームボタンのケーブルと一体のパーツ構成になっています。それらのケーブルに不具合が起こった際は、全体が交換になります。
衝撃で断線する、水濡れのためショートするといったトラブルが考えられます。
・バッテリー
水没の場合は、ほぼかならず交換になります。出力端子でショートが起きるからです。リチウムイオン電池はショートが起きると致命的に劣化し、一瞬でダメになってしまうのです。
また、長期間にわたって充電・放電を繰り返したリチウムイオン電池は、劣化して膨張します。膨張によってパネルや基板、ベゼルを圧迫し、破損や故障を引き起こすこともあります。
■故障にそなえる
iPhone 4sは、中古市場では3,000円前後からの値段で取り引きされています。メイン機が故障したときにそなえて、予備機として手元に持っておくという人もいるようです。基本的な機能はそなえていますし、コネクター類も上位機種と変わりませんから、予備機としては十分なのでしょう。
逆にiPhone 4sをメイン機として使っている人はあまりいないでしょう。故障の予防にも、あまり気をつかうことはなさそうです。
ですが、防塵性、防水性がほとんどないことを忘れないようにしてください。予備機だからといって、ラフなあつかいは禁物です。
なお、長期にわたって使わずに保存する場合は、リチウムイオン電池の充電状態を50%程度にしておくようにしてください。満充電と過放電の状態をキープすると、リチウムイオン電池は劣化します。特に、使い切った状態(過放電)で放置すると致命的に劣化しますので、ご注意ください。
■修理のポイント
2,011年に発売されたiPhone 4sでは、保証期間を残している個体は、ほぼ存在しないでしょう。しかしアップル社はまだサポートを継続しており、22,800円(税別)での修理対応を行っています。中古市場における中古品取引価格を大きく上回っている点はツッコミ所なのでしょうか。もっとも、街中の非正規iPhone修理店でも、ほとんどの場合、修理料金は中古品価格を上回ります。
要するに、iPhone 4sに関しては、「故障したら修理するよりも状態のよい中古品を買う」のが正解ということになります。
故障したiPhone 4sは、おそらく売りに出しても買い手がつかないでしょうから、廃棄することになるでしょう。本体を初期化(データをすべて消す)したうえで、自治体が設けている回収ボックスに捨てるか、キャリアショップやAppleストア、正規サービスプロバイダーに持ち込んで処分してもらいましょう。